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COPDについて

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、これまで肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた2つの病気が進行し、呼吸機能の低下を引き起こした状態の総称です。肺の病気と気管支の病気という違いはありますが、どちらも呼吸器に慢性の炎症が生じてゆっくりと進行し、次第に呼吸が苦しくなっていくという共通点があります。

COPDは高血圧や糖尿病と同様に非常に身近な疾患であり、患者の約90%が喫煙者であることから、現在では肺の生活習慣病とも言われています。WHO(世界保健機関)の報告によると、1990年時点で死因の第6位だったCOPDは、2020年には世界第3位の死因になると予測されました。日本においても死亡原因の順位は年々上昇しており、今後も増加していくと考えられています。

COPDを構成する2つの疾患とその特徴

COPDは主に以下の2つの疾患が組み合わさって進行します。それぞれの病態には以下のような特徴があります。

肺気腫 肺の最小単位である「小葉」が破壊され、元の状態に戻らなくなった状態です。組織を直接調べるのは患者さんへの負担が大きいため、診察や胸部X線、肺機能検査などで診断を行います。
慢性気管支炎 2年以上、咳や痰が続く状態を指します。タバコや大気汚染などが原因で、気管支にある腺や粘液分泌細胞に炎症が起きることで発症します。

気道が狭くなる「慢性的な閉塞」の状態とは

COPDにおける閉塞とは、気道が完全に塞がる一歩手前の状態を指します。具体的には、思い切り速く息を吐こうとしても制限がかかり、息を吐き出す速度が遅くなります。これにより、胸いっぱいに吸い込んだ空気を1秒間で吐き出せる量(1秒量)が減少します。肺気腫や慢性気管支炎の所見があっても、肺機能が正常であれば現時点ではCOPDとは診断されませんが、将来的に移行するリスクは高いと言えます。

COPDと気管支ぜんそくの違い

どちらも「気道が狭くなる」という点は共通していますが、その性質は大きく異なります。

項目 COPD(慢性閉塞性肺疾患) 気管支ぜんそく
症状の現れ方 常に気道が狭く、徐々に進行する 発作的に気道が狭くなるが、治療で元に戻る
主な症状 動いた時の息切れ、慢性的な咳・痰 安静時の「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘鳴)
炎症の場所 肺胞を含む肺全体 気道(空気の通り道)が中心

注意すべきCOPDの自覚症状と進行のリスク

COPDは中年以降の喫煙経験者の約20%に発症し、加齢とともに頻度が高まります。最初は咳や痰、風邪が治りにくいといった症状から始まりますが、息切れの程度が徐々に進行していくのが特徴です。息切れを「歳のせい」と自己判断して見過ごさないことが重要です。健康な方であれば、90歳近くになっても日常動作や自分のペースでの歩行で息切れを起こすことはほとんどありません。

COPDによる息切れは、階段を上がる、荷物を持つといった負荷がかかった際に起こります。実は、自覚症状が現れた段階ですでに中等症以上に進行しているケースが多いため、早めの受診が推奨されます。なお、安静時にも息切れがする場合は他の疾患の可能性も考慮する必要があります。

見逃せない併存症のリスク

COPDは全身の炎症性疾患とも考えられており、呼吸器以外にもさまざまな併存症を引き起こす可能性があります。

呼吸器疾患 肺がんの合併が多く見られるほか、インフルエンザなどの感染症が症状を急激に悪化させる原因となります。
虚血性心疾患 狭心症や心筋梗塞など、心臓への影響も少なくありません。
骨粗鬆症 喫煙や運動不足、栄養障害などが関連して骨がもろくなる場合があります。
睡眠障害 血中の酸素が不足する「低酸素血症」により、眠りの質が低下することがあります。睡眠薬の使用には注意が必要です。
糖尿病・うつ病 慢性的な高血糖状態や、外出困難による精神的な落ち込み(うつ状態)を併発することがあります。

COPDを早期発見するための検査方法

早期に適切な治療を開始するために、以下の検査が有効です。

肺機能検査(スパイロメーター)

肺の機能を数値化する検査です。最大まで吸い込んだ空気を一気に吐き出した際の最初の1秒間の量(1秒量)が、全体の肺活量に対してどの程度かを測ります。1秒率が70%未満の場合はCOPDの可能性が高いと判定されます。当院では「肺年齢」を算出できる検査も実施しています。

胸部X線検査(レントゲン)

画像に変化が現れるのは症状が進行してからであるため、早期発見には向きませんが、他の病気との判別に利用します。進行したCOPDでは、肺が上下に伸びきった状態や、それに伴って心臓が細長く見えるのが特徴です。

COPDの進行を抑えるための治療ステップ

COPDはいったん発症すると完全に元の状態に戻ることはありませんが、適切な治療で進行を遅らせ、症状を和らげることが可能です。

  1. 最優先の禁煙治療
    病気の進行を止めるためには禁煙が絶対条件です。自力での禁煙が難しい場合は、専門外来による禁煙治療を活用しましょう。
  2. 気管支拡張薬の吸入
    抗コリン薬やβ刺激薬などの吸入薬を使用します。これらは作用が速く、副作用も少ないため、治療の第一選択薬となります。
  3. 内服薬や追加治療
    必要に応じて、テオフィリン製剤の内服やステロイドの吸入、去痰薬などを組み合わせて症状を安定させます。
  4. 在宅酸素療法
    呼吸状態が著しく低下し、血液中の酸素が恒常的に不足するようになった場合には、自宅で酸素を吸入する療法を検討します。

 

参考文献:
1)中高年のたばこ病COPD 巽浩一郎(保健同人社)
2)きょうの健康 肺の生活習慣病COPD(NHK出版)

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