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ヘリコバクターピロリ菌

はじめに

多くの方が誤解されていますが、コレラ菌や赤痢菌と異なり、ピロリ菌がいるからといって直ちに治療が必要なわけではありません。 多くの場合、乳児期に感染し、知らないうちに胃に住み着き、胃炎となり、長い年月をかけて萎縮性胃炎となり、さらに進行していく過程の中で消化性潰瘍やポリープ、リンパ腫、そして中には胃がんを発生することがあります。
40歳以上の方で50%が感染しているという報告もあります。 ですから、正しい情報を知っていただき、現行の保険診療ではどのように診断・治療が行われているかをお伝えします。

ピロリ菌除菌が保険適用となるケース

  1. 胃カメラまたは胃バリウム(透視検査)で胃潰瘍または十二指腸潰瘍と診断された方
  2. 胃MALTリンパ腫の方
  3. 特発性血小板減少性紫斑病の方
  4. 早期胃がんで内視鏡的治療後の再発がん予防を目的とする方
  5. 胃カメラで胃炎と確定診断された方(平成25年2月に追加)

ピロリ菌の検査・診断方法

  1. 胃カメラで採取した生検組織を用いる方法
    • A) 組織鏡検法:顕微鏡で直接菌を確認します(当院で行っています
    • B) 迅速ウレアーゼ試験:専用キットで調べます(当院で行っています
    • C) 培養法:組織を培養します
  2. 抗ピロリ抗体検査:血液で調べます(当院で行っています
  3. 便中ピロリ抗原検査:便を提出していただきます(当院で行っています
  4. 尿素呼気試験:空腹で検査薬を飲み、呼気で調べます

ピロリ菌の除菌方法

  1. 初回の方法は、2種類の抗菌薬と胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬の3種類の薬を朝夕食後に続けて1週間服用します。
  2. 過去にペニシリンアレルギーのある方は、必ず事前にご連絡ください。除菌後の判定は除菌終了後1か月以上経ってから行います。 除菌判定には、便中ピロリ抗原検査がもっとも適切といわれています。 抗ピロリ抗体は、除菌成功後も陰性化するには1年以上要します。除菌前後で定量的な比較を行い、抗体価が前値の半分以下に低下した場合に除菌成功と判断します。 尿素呼気試験は偽陽性の場合があるため、注意が必要です。

    最近、除菌薬の一つである、マクロライド系薬剤であるクラリスロマイシン耐性菌が約30%まで増加し、除菌成功率が70-80%といわれています。

  3. 初回の方法で不成功の場合は二次除菌が認められています。

    抗菌剤の種類を変えて行います。除菌率は90%以上といわれています。

服用時の注意点

薬を途中で中断したり、飲み忘れたりすると除菌に失敗するだけでなく、耐性菌に変わってしまうことがありますので、最後まで飲みきってください。

除菌薬の副作用について

副作用があっても、多くの場合は服薬期間が終われば特別な治療をしなくても自然に軽快することが多いです。副作用として、
  1. 下痢 当院では下痢を起こしやすい方には、整腸剤も処方させていただいています。
  2. 味覚障害
  3. じんましん

    2-5%の人で治療を中止しなければならないほどの重篤な副作用が出ることがあります。

    重篤な副作用とは、血が混じった下痢、高熱、重症の発疹、喉頭浮腫、呼吸困難などです。

    一般的に早く出現する副作用ほど即時型で重篤です。

    つまり、薬を飲み始めて数分後から数時間以内に出現する副作用は重篤ですので、もし異常ができたらすぐに服用を中止する必要があります。

ピロリ菌除菌によるメリット

  1. 慢性胃炎が改善し、萎縮の進行が抑制される
  2. 消化性潰瘍再発が抑制される
  3. 胃がんの発生を約3分の1に抑制される
  4. ディスペプシア症状が改善することがある
  5. 胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、過形成性ポリープが改善することがある

ピロリ菌除菌によるデメリット

  1. 萎縮や腸上皮化生などの前がん病変を改善するとは限らない
  2. 鎮痛剤による胃十二指腸潰瘍を抑制できない
  3. ディスペプシア症状が改善しないことがある
  4. 胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、過形成性ポリープが改善しないことがある
  5. 胃がんの発生を完全には抑制できない
  6. 逆流性食道炎や胃食道逆流症が新たに発症することがある
  7. 体重が増加することがある

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